その招待状は、ある朝、本の間から見つかった。
古びた紙に、銀色の文字が浮かんでいる。
「魔法同盟へ、ようこそ」
差出人の名前はなかった。
ただ、その下に小さくこう書かれていた。
「未来をかける覚悟のある者のみ、扉を開いてください。」
私は笑った。
子ども向けのイベントか何かだろうと思ったのだ。
それでも好奇心に負けて、指定された古書店を訪ねた。
店の奥には見慣れない扉があった。
扉の向こうには、世界中から集まった人々がいた。
老人も若者もいる。
魔法使いのような格好の人もいれば、ごく普通の服装の人もいる。
けれど彼らに共通していたのは、みな未来について真剣に語っていることだった。
失われつつある森を守る人。
新しい物語を書こうとする人。
誰かを孤独から救おうとする人。
街に音楽を取り戻そうとする人。
彼らは杖で火花を飛ばしていたわけではない。
だが私は気づいた。
本当の魔法とは、人の心を少しだけ明るくする力なのだと。
やがて白髪の女性が私に近づき、言った。
「あなたは何を未来に残したいのですか?」
私はすぐには答えられなかった。
けれど窓の外を見ながら、ふと思った。
人と人が言葉を交わし、
遠い街どうしがつながり、
まだ会ったことのない誰かが少しだけ勇気を持てる。
そんな小さな場所を作れたらいい。
女性は微笑んだ。
「それなら、あなたも同盟の一員です。」
その夜、私は会員証も杖も受け取らなかった。
代わりに、一冊の白いノートを渡された。
表紙には金色の文字。
「未来をかける者の記録」
帰り道、私はそのノートを抱えながら思った。
魔法同盟は秘密結社ではない。
それは、まだ見ぬ未来を信じる人たちの集まりなのだ。
そしてその扉は、いつもどこかで静かに開いているのだった。















